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その年読んだ本のベストテンです。

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その年に読んだ本ベストテン

2008に読んだ本ベストテン

1.『赤めだか』
立川談春/扶桑社 【エッセイ】

赤めだか
赤めだか
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立川 談春
扶桑社
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(@_@)/2008年はわたしの落語元年になりました。
 日記より】 いやあ~面白かった!! 落語とか談志とかそんなことは知らなくても文章が、構成が素晴らしい、なにをどう書けば一番効果的に面白いか、を談春さんはきっちりわかっておられる。たまにあるでしょう、素人のトークでネタは面白いのに話し方がもたもたしていて台無し、というのが。その真逆というか、ほんとに無駄がない。落語家さんが書いているけど落語家っぽい江戸弁を交えた文体などは一切ないのも珍しい。あれはあれで悪くないんだけどこのひとの文章は本当に変なクセがなくて爽やか。
 

2.『ダンシング・ヴァニティ』
 筒井康隆/新潮社 【SF】

ダンシング・ヴァニティ
ダンシング・ヴァニティ
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筒井 康隆
新潮社
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(@_@)/やっぱこのひと天才。
 日記より】 筒井さんだし、「驚異の反復」だし、また文学的な実験めいたことをやってあるのだろうくらいには思っていたけれどこれが単純な反復じゃなくて少しずつ変わっていたり、またずっと読んでいくと前の前の前くらいのがまたすっと出てきたりでもその先がまた跳んだりと時間軸もぐちゃぐちゃになったりしていてそれが愉快なんだから不思議というか……上手いんだなぁあこれが。ていうかね。小難しいことヌキにね。面白いんです。展開が。
 

3.『野球の国』
 奥田英朗/光文社文庫 【エッセイ】

野球の国 (光文社文庫)
野球の国 (光文社文庫)
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奥田 英朗
光文社
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(@_@)/俺は俺、俺の人生だもん。
 日記より】 あ~~~面白かったー! 読み終わって、充足感いっぱいでにこにこしてしまった。 このエッセイ集は机に向かってあれこれテーマについて思うところを書く、というものではなく、いちおう全篇にあるテーマというか企画みたいなのがあって、著者が地方球場で野球を観戦することをメインにした気ままな一人旅をし、そこで地元特産の美味しいものを食べたり好きな映画をわざわざ旅先で見たり、マッサージをしてもらったりしつつそのとき思ったことなんかを書いてある。
 

4.『ずっとお城で暮らしてる』
 シャーリイ・ジャクスン/創元推理文庫 【ホラー】

ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫)
シャーリィ ジャクスン
東京創元社
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(@_@)/怖い小説とは思えませんでした。
 日記より】 わたしがこの小説が好きだと叫びたくなったのは何故かというと、メリキャットが住むのはタイトルにある「お城」ではなくて大きなお屋敷なんだけど、そのお屋敷が緑豊かな美しいお庭に囲まれていて、そこを散歩する情景とか、とにかくデティールがすごくすごくきれいだからだ。きれいなお屋敷に他者を排して自分の世界に染まったまま暮らし続ける。それはああ、なんて「メルヘンチック」なことでせうか!(メルヘンがイコール現実になってるから怖いんだよ、という冷静なツッコミは馬耳東風と聞き流す)。
 

5.『夕子ちゃんの近道』
長嶋有/新潮社 【純文学】

夕子ちゃんの近道
夕子ちゃんの近道
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長嶋 有
新潮社
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(@_@)/『ジャージの二人』とどっちにしようか迷いました。
 日記より】 古道具屋に集まるひとびとの話といえば川上弘美『古道具 中野商店』があるが、『夕子ちゃんの近道』を読んで思ったことは「これがわたしの読みたかった古道具屋さんの話だ」ということだった。川上さんの話になくて長嶋さんの話にあるもの、川上さんの話にあって長嶋さんの話にはないもの。おそらくそれは単純に読み手の趣味の問題である。
 

6.『フロスト気質』
 R・D・ウィングフィールド/創元推理文庫 【ミステリー】

フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)
R.D. ウィングフィールド
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(@_@)/ミステリーがどうこうというよりは警部とみんなのやりとりが好きで。
 日記より】 「フロスト警部がきましたあああ」 「いえぇえい!」 「『夜のフロスト』が2001年だから実に7年ぶりの新刊ですぅうー」 「イエー! ヒュー! 待ってたぜオヤジぃー!」 「今回も面白かったですねえぇ」 「……まじで面白かった」 「ちょっと今回自分でもびっくりしたんですけど、実際読んでフロスト警部が出てきたときにものすごく嬉しくて。わたしはこんなにフロスト警部のこと好きだったっけ?みたいな」
 

7.『マーティン・ドレスラーの夢』
スティーヴン・ミルハウザー/白水Uブックス 【米 純文学】

マーティン・ドレスラーの夢 (白水Uブックス)
スティーヴン ミルハウザー
白水社
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(@_@)/ラストがまた良くって。
 日記より】 だけどこの作家の本筋はそういうストーリーの流れにあるんじゃなくてそれを包んでいる枝葉にあるんじゃないかと思うわけで。 例えばこの小説でいえばそれはいろんな場面に出てくるマーティンがこだわりをみせる細々とした小物とかレイアウトに関する描写だったり、ホテル造りの場面や完成してからのシーンに見られるまるで御伽の国の建築物かのような楽しくて驚異的で素晴らしい発想が実現された世界がそこにある、という描写なんだけど、そういうのが細かく書いてあるのがすごく面白い。わくわくする。
 

8.『灯台守の話』
ジャネット・ウィンターソン/白水社 【米 純文学】

灯台守の話
灯台守の話
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ジャネット ウィンターソン
白水社
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(@_@)/「わたしたちは幸福だ、たとえどん底の時でも。ちゃんと夜は明けるのだから。」
 日記より】 面白かったあああ! ひょっとしたら小難しいんじゃないかとか、前衛的過ぎてブンガク的で抽象的でわけわかんなかったらどうしようなどという事前の憂慮は全て泡と消え去った。杞憂であった。 このお話に流れる空気がすごく良くて、主人公の少女シルバーが大好きになってしまって、ああ岸本さん、訳してくれてありがとうと読みながら何度も感謝した。
 

9.『おそろし 三島屋変調百物語事始』
宮部みゆき/角川グループパブリッシング 【時代ミステリー】

おそろし 三島屋変調百物語事始
宮部 みゆき
角川グループパブリッシング
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(@_@)/安心して、その世界にひたれる。
 日記より】 5つのお話に分かれているが、連作で長篇として書かれているので順番に読まれたい。タイトルは「おそろし」だしほわほわハッピーな話では決してないのだがその心は「あたたかし」であることは請合う。 いちおう、ミステリーというか謎があるし、何が起こったのかも順番に知っていったほうが絶対に良いので詳しい内容については触れない。いわゆる怪談めいたことも書かれているけれども怖がらせることが目的ではないのでむしろしんみりしたりいろいろ考えさせられる話ばかりだ。
 

10.『百年の孤独』
ガブリエル・ガルシア=マルケス/新潮社 【西 現代文学】

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)
ガブリエル ガルシア=マルケス
新潮社
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(@_@)/ラテン文学かるちゃーしょーっく!
 日記より】 「題名『百年の孤独』でしょ? 積年の恨みはらさでおくべきかぁ、って感じでしょ? しかもノーベル賞受賞作で長年読み続けられている名作だもん、さぞかし重厚なご大層な純文学なんだろうと思うじゃない。」 「それがこーんなばりばりのエンタメ、しかもファンタジー色のあるフィクション続出で。巻頭の同じ名前がいっぱいある家系図みて(うあ、きたよ一族の歴史!)なんて悲壮な覚悟で読みはじめたらのっけから磁石で家の釘が抜けたとか魔法の絨毯が飛んだとか本当にあったこととしてしゃらっと書かれているんですから、」 「あれで目が醒めた。」
 

番外.『上方落語 桂米朝コレクション』全8巻
桂米朝/ちくま文庫 【落語】

上方落語 桂米朝コレクション〈1〉四季折々 (ちくま文庫)
桂 米朝
筑摩書房
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(@_@)/師匠の声を脳内再生しながら楽しみました。
 【日記より】 上方落語というのはもうべったべたの関西弁で出来ているのでそれをそのまんま活字に並べるとまあそれなりにべちゃっとしているというか、いわゆる「コテコテ」になってしまうのだけれど、落語家がエッセイなんかで書くのに比べてこの本は読んでいて煩く感じない、何故か。それはたぶん、各噺のはじめに書かれている師匠の解説が標準語で(そりゃ声に出して読めばイントネーションは関西になってるんでしょうが)書かれているからだと思う。それがクールというか、「演技である落語の世界」と「現実」の切り替え感があって、良い感じに締まった感じの効果を生み出しているような気がする。