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その年読んだ本のベストテンです。

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その年に読んだ本ベストテン

2009に読んだ本ベストテン

1『オレンジだけが果物じゃない』 
 
オレンジだけが果物じゃない (文学の冒険シリーズ)
ジャネット ウィンターソン
国書刊行会
売り上げランキング: 260389
(@_@)/ あまりにもドラマチックな半生が素材で、 これは諸刃の剣だと思いますが、 よくぞこういうスタンスに徹して書けたもんだなあと敬服いたしました。
日記より】 本当にこのひとにとって「物語」というのは生きていくためになくてはならない大きな存在なんだなっていうのがすごくよくわかる。 自分のことを書いてあるけれどもけっしてひとりよがりにならず、感情的にもならず、独善はなく、排他もせず、クールにシニカルに、けれども母親や周囲のひとびとにどこか愛情すら感じさせる公平な視線を注ぎ、独特のユーモアをたっぷり滲ませて綴られた物語。


 2『猫を抱いて象と泳ぐ
 
猫を抱いて象と泳ぐ
猫を抱いて象と泳ぐ
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小川 洋子
文藝春秋
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(@_@)/ いろんな細かい道具立てやなにからなにまで、 隅から隅まできちんと目が行き届いている感じ、 その愛おしさ。
 【日記より】 「小川洋子の最高傑作」の文字が塗り替えられたな、と読み終えて強く確信した。それも『博士』が従来の小川作品の中である意味異色だったのに対し、『猫を抱いて』はバリバリの小川ワールド、不思議でぬめりとあたたかくてねちっこくてそれでいて凛としている、というこの作家独特の持ち味が文章の隅々まできちんと行き渡って手入れされているという感じ。


 3『犬が星見た
 
犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)
武田 百合子
中央公論新社
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(@_@)/ 『富士日記』とどちらにしようか迷いましたが 作品としての完成度・洗練度からとりあえずこちらを。 でも本当は合わせ技で、です。
 【日記より】 『富士日記』の中でもこの旅行についてはちらりと触れられていたが――というか元はおなじコンセプトで書かれた日記を出版するにあたって区分した、というようなものらしかったので、読みはじめるときは長い楽しい日記を読み終わったさびしさがあるけれど平気だもん、まだオマケの番外編があるもんくらいの認識だった。 しかし実際読んでいくうちにその認識は誤りであるということはかなり早い段階でわかった、というかそんな大人しいレベルではなくてただもうコイツはとんでもねぇぞという熱いコーフン状態に突入していた。


4『f植物園の巣穴
 
f植物園の巣穴
f植物園の巣穴
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梨木 香歩
朝日新聞出版
売り上げランキング: 2939
(@_@)/ すごく真面目なひとが、 すごく真面目に戸惑い続ける物語。 梨木流”不思議の国のアリス”。
日記より】 まあなんせいろんなことが夢か現かその境界線をはっきりさせないまま進んでいく物語で、このままぼんやりとした焦燥感と後悔を抱えて収束していくのかと思いきや終盤にかけてちょっとびっくりすることが明らかにされる。そのおかげでわたしは感動で半ば涙ぐみつつ、しあわせな気持ちで読み終えることができた。


 5『琥珀捕り
 
琥珀捕り (海外文学セレクション)
キアラン カーソン
東京創元社
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(@_@)/ 『シャムロック・ティー』とどちらにしようか迷いましたが 物語のパワーを感じさせてくれるのと なんじゃこりゃあ的へんちくりん度が高かったこちらを。
日記より】 「物語」がものすごく価値をもっている世界だよね。現実問題、みんなはこんなにフィクションに飢えているかしら、なんてことを思ったり。なんていうか吟遊詩人の活躍した世紀の香りがする。本や映画のまだない世界。 物語の海はひろく、そのなかにはまだまだいろんなイキモノたちがひしめいている、こういう小説を読むとその感慨を深くする。


 6『1Q84』
 
1Q84 BOOK 1
1Q84 BOOK 1
posted with amazlet at 09.06.04
村上春樹
新潮社
売り上げランキング: 1
(@_@)/ 個人的にはこれをきっかけにして 著者の短編・雑文を「いまさらだけどあらためてフェア」をして読みまくり、 やっぱこのひとの雑文面白いなあと感じ入ったのが収穫でした。
 【日記より】 この小説はある意味で「定石どおり」書かれたものであるとも思う、少なくとも途中までは。 というと語弊があって、型に嵌った退屈なものを連想させるのかもしれないがもちろんそういうことではなくて、すごく大きな意味での、小説がきれいに成り立つための公式があるとしたら、それをきちんきちんと押さえていかに完成形が美しいものになるかに隅々まで神経をはりめぐらしてある小説だ、ということを読みながらびしばしと感じたのである。


7『君は永遠にそいつらより若い』
 
君は永遠にそいつらより若い
津村 記久子
筑摩書房
売り上げランキング: 19459
君は永遠にそいつらより若い (ちくま文庫)
津村 記久子
筑摩書房
売り上げランキング: 29157
(@_@)/ 今や文庫版も出ています。 芥川賞効果ってすごい。 でも受賞作よりこっちのほうが衝撃度は高かったです。
 日記より】 主人公の選んだ道を知ったとき、ああなんだかんだ言って世間の常識とかそういうのにとらわれているのがわたしで、いっけんそういうふうにみえたホリガイさんが欲しがっていたのはもっと違う、全然別の次元のことだったんだ、ということがわかって津村記久子おそるべしと唸った。そうだ。大事なのはそういうことだ。


 8『はい、泳げません』
 
はい、泳げません (新潮文庫)
高橋 秀実
新潮社
売り上げランキング: 34918
(@_@)/ ほんまに水泳のことしか書いてへんねんもん、びっくりしたわー。 たくさん笑わせてもらいました。
 日記より】 ものすごく面白い。堅苦しい偏屈どころか、その実体はとってもユーモラスでしかも嫌味にならない程度に知的なペーソスを漂わせている素敵なおじさんだったのだ。駅で電車を待ちながら読んでいる最中思わず無防備になって「ぐふっ」と吹き出してしまい、その瞬間隣にひとが座っていたことを思い出し、あわてて咳き込むふりを装わなくてはならなかった。油断のならない本だったのである。


 9『スットコランド日記』
 
スットコランド日記
スットコランド日記
posted with amazlet at 09.10.17
宮田 珠己
本の雑誌社
売り上げランキング: 93442
(@_@)/ 『晴れた日は巨大仏を見に』とどちらにするか(ry  前者は企画の面白さ、これは日記なので素の面白さ。
 【日記より】 最初ネットでみたとき「えっ、宮田大兄(勝手に慕ってそう呼んでいる)、スコットランドに行ったの?」なんて思ったがよく見ると「スットコランド」なのだった。 web本の雑誌で連載されていた最初の1年(2008年4月7日~2009年3月31日)分が単行本になったもの。日記と云っても数日とばしのとかもあるけどこれはちゃんと毎日のぶんの日記があって妙に感心する。やっぱ宮田大兄は根が真面目なんだろうなあ。


 10『すごい本屋!』
 
すごい本屋!
すごい本屋!
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井原 万見子
朝日新聞出版
売り上げランキング: 36946
(@_@)/  「すごい本屋」は「あったかい本屋」でもあったんでした。 「このミステリーが凄い!」みたいに 「この本屋が凄い!」というのがあっても面白いでしょうね。
日記より】 ご本人はにこやかにごくあたりまえな感じでそれをやってらっしゃるっていう空気で、ヤリ手だとか商売熱心、とかいった評価はどうも違うなっていう感じ。強いていえば本・郷土に対する慈しみ、子どもにたくさん良い本と出会うきっかけを与えられたら嬉しい、という気持ちが井原店長をつきうごかしているように思う。