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その年読んだ本のベストテンです。

翌の読書手帖 http://asunaro-books.blogspot.jp/

その年に読んだ本ベストテン

2010に読んだ本ベストテン

1.シカゴ育ち
スチュアート・ダイベック

シカゴ育ち (白水Uブックス―海外小説の誘惑 (143))
スチュアート・ダイベック
白水社
売り上げランキング: 54975
+(0゚・∀・)+☆ これは読んでる最中からオールタイムベスト級だな……! と、ぞくぞくしてました。 きれい。でもきれいだけじゃない。 郷愁と、切なさと、生活のゴミのにおいが全部一緒に書いてある。 町は全然豊かではなく、 周囲は全然お上品ではなく、 ――なのになんで、こんなにもこの作品は美しいんだろう。 うまく説明できなくてもどかしい。
 【日記より】 一字一句が美しく、描かれていく世界があまりにも愛おしく、わきあがる静かな静かな感動にうちふるえながら文字を辿っていくこの歓喜。ああこれは傑作なんだ、素晴らしい作品にいままさにまた出会えたのだと直感で悟り、確かめるようになんども同じパラグラフを愛でる喜び。(中略) 最初のもくろみとしてあったマローンの暮らしていた街を知りたいという思いは忘れたわけではなかったが、ダイベックの描くこの町(街というには狭すぎる)とはあまりにも印象が違いすぎて、またひとつ「シカゴ」という場所への興味が深まった。


 2.あんじゅう  三島屋変調百物語事続
宮部みゆき

あんじゅう―三島屋変調百物語事続
宮部 みゆき
中央公論新社
売り上げランキング: 88
。・゚・(ノД`)・゚・。 『小暮写眞館』の青春高校生のノリも楽しかったけど、 やはり宮部さんの作品群の中でも特に時代ものが好き。 しかもこれは前作のつらさを越えて後の、読んでしあわせになれる内容。 いろんな物語があるけれど、 ひとの弱さ、怖さ、哀しさも書いてあるけれど、 でもそういうものを乗り越えていく強さも書いてある。 著者の視線の優しさに、じんわりと胸があたたかくなります。日記より】 『おそろし』もそうだったように、このシリーズは人の心の深い部分に触れる打ち明け話が元になっているからどうしたって楽しいるんるんの話ではなく、聞いていて心がシン、となってしまって思わずぐるぐると考え込んでしまうような内容が多い。おちかさんや三島屋のご主人夫妻、女中さんや丁稚さんその他の主要キャラのみなさんが本当に心根のあたたかいやさしい人たちばかりなので何も読んでいて嫌になるというようなことはないのだがそれにしてもこの毎ページ出てくる南伸坊さんの絵には救われた。


 3.渡りの足跡
梨木香歩

渡りの足跡
渡りの足跡
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梨木 香歩
新潮社
売り上げランキング: 2611
(n‘∀‘)η ナッキーのクールで淡々としたエッセイはクセになる。 なんかいろんな意味で容赦が無いところとか。 物語ももちろん好きだけど、 その物語をつむいでいる梨木香歩というひとのまなざしの揺るがなさには ちょっとだけ、たじろいでしまう。
 日記より】 「渡り」ってそういうことか、英国→植物→カヤック→水辺の植物ときて次は渡り鳥か、ってまあ別に順番じゃなくてきっとずっと並列して昔からアンテナ張ってらした分野なのだろうけど。アクティブだなあ。それは単に行動的という意味じゃなくてなんていうか……好奇心が、地球に対する関心の寄せ方が、アクティブ。


4.レディ・ジョーカー 文庫版
高村薫

レディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫)レディ・ジョーカー〈中〉 (新潮文庫)レディ・ジョーカー〈下〉 (新潮文庫)
(*'д`*) 高村薫文学の最好(高)傑作! この疾走感は、読み始めたら止められない。 上質の社会派ミステリーであり、企業小説であり、 おまけにれ、恋愛小説でもあると思うのです。 腐っているといふならお言い! 加納祐介&合田雄一郎は最高です。
日記より】 実際に犯行が起こされるまでは彼らのことはかなり腰を据えてじっくり書かれているのにも拘わらず、いったん賽が投げられてしまうと、彼らは見事にすうっと舞台の裏側に回ってしまうというか、後は企業・警察・新聞の視点が中心の慌しい濁流がぶわあああっ、と押し寄せてくる、みたいな展開になるからだ。そのスパッとした視点の切り替わりは爽快で、いままで溜めていたものが一気に噴き出すようなスピード感は無茶苦茶面白いしそれに加えていろんな予想外の波紋が広がっていったりしてページを繰る手ももどかしい。


5.ペンギンの憂鬱
アンドレイ・クルコフ

ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)
アンドレイ・クルコフ
新潮社
売り上げランキング: 22852
(^ω^) わたしは別に動物大好きとかじゃないんですが、 予想以上にペンギンがかわいかったです。 主人公がトボけたひとで共感しにくかったけどこれは国民性の違いなのかなあ? 変な話だったけど、だからこそ記憶に残る。
日記より】 これは純文学でしかも不条理満載の小説だからいろんなミステリアスな事象のばら撒きがあってもミステリーのようなくっきりとした出口・解決みたいなものは全然期待していなかったのだけれど終盤のぞわぞわする気持ち悪い嫌悪感とラストのスカーッとするしてやったり感は見事なコントラストだった。


6.エドウィン・マルハウス あるアメリカ作家の生と死
スティーヴン・ミルハウザー

エドウィン・マルハウス―あるアメリカ作家の生と死
スティーヴン ミルハウザー
白水社
売り上げランキング: 255073
(`・ω・´) ミルハウザーのあの一歩間違えたらびょーきの細かい描写で 幼い子どもの日常を懇々と描いてある。 調理法と材料がベストというか、 この組み合わせは最強。 しかも、それだけじゃないんだなこのお話は……。
日記より】 最後まで読んだ後、もう一度「初版へのまえがき」を読み直した。最初に読んだときの子どもらしい皮肉と素直さと見えたこの自己顕示が、なにか全然違う、おそるべき底意を秘めているような気がした。暗さと、美しさ。子どもが主人公ならではの潔癖さ。ミルハウザーの文章、岸本さんの翻訳が素晴らしく合っている。


7.東南アジア四次元日記
宮田珠己

東南アジア四次元日記 (幻冬舎文庫)
宮田 珠己
幻冬舎
売り上げランキング: 48418
(ノ゚д゚)ノ 変な写真がいっぱいあって 珠己兄の文章から萌えが炸裂してて、 すごい変な本(誉めてます)。 こんなの出せるのは兄ならばこそ。
日記より】 そもそも「東南アジア」って銘打ってあるけどアジアがどうとか民族がどうとかよりは明らかになんだかわけのわからんヘンテコリンな写真が満載で見ていると脳のどっかが壊れていく感じがするしこれはなんというか異空間としか思えないんだが、そういえばタイトルにはちゃんと「四次元」って書いてあるよなあ、正解正解。


8.ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち
柴田元幸

ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち
ポール・オースター 村上春樹 カズオ・イシグロ リチャード・パワーズ レベッカ・ブラウン スチュアート・ダイベック シリ・ハストヴェット アート・スピーゲルマン T・R・ピアソン
アルク
売り上げランキング: 66642
( ´・ω・`)_且~~ 柴田先生と いろんな作家さんの自然な会話が読めて 興味深かった。 みんな柴田先生を信頼してるのがよくわかる。 実物を読んでいないと難しいところもあったけど、 こういう企画はその姿勢を読み込むことが面白い。 シリさんの小説も良かったです。
日記より】 やはりでもこれは軽いノリのインタビューというよりはとても真面目な文学論なので1、2回目を通したくらいではとても「読んだ」とは言えない感じ、ちょくちょく開いて参照していきたい感じがします。シリ・ハストヴェットはこのインタビューによって読んでみたくなりました。


9.隣のアボリジニ 小さな町に暮らす先住民
上橋菜穂子

隣のアボリジニ 小さな町に暮らす先住民 (ちくま文庫)
上橋 菜穂子
筑摩書房
売り上げランキング: 3800
(´∀`)人(´∀`) ごくふつうの若き民俗学者の まじめで一生懸命なひととの関わり方がすごく良くて、 等身大な感じで。 ノリで「隣の」と言ってるのかと思っていたが、 実際読んだらほんとに接し方からすべて「隣人」なのが凄かった。
日記より】 まったく知らなかったわたしのような読者にもすごくわかりやすく、やさしく丁寧に語りかけてくれる本書、うーん、やっぱりこれは「学者さん」でもあるけれど「作家さん」でもあるからこその文章なんじゃないかとつくづく思う。写真もいっぱい載っていて、町に暮らすまさに「お隣さんの」アボリジニ、その姿が具体的に伝わってくる。


10.BとIとRとD
酒井駒子

BとIとRとD
BとIとRとD
posted with amazlet at 10.01.09
酒井 駒子
白泉社
売り上げランキング: 3890
(∩´∀`)∩ 本のつくりに愛を感じます。 おはなしも良いし、 なにより絵が好きだし、 装丁がとおっっっても素晴らしい。 ダンボールの質感とかね。良いよね。 本ってやっぱり紙じゃなくっちゃ!
日記より】 ちいさなこどもの、ほっぺたのぷくんとなっているやわらかさ、その可愛くてたまらないところがめちゃくちゃうまく描かれていて読みながら眺めながらにまにましてしまう。あーもうかわえええええ。