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その年読んだ本のベストテンです。

翌の読書手帖 http://asunaro-books.blogspot.jp/

その年に読んだ本ベストテン

2011に読んだ本ベストテン

1、不思議な羅針盤
梨木香歩

不思議な羅針盤
不思議な羅針盤
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梨木 香歩
文化出版局
売り上げランキング: 3143
ε(*´・∀・`)з゙ なんだか支えてもらったような。 あったかいものをもらったような。 しっとりと、ゆるぎない力が伝わってきました。 曇りのない厳しい視点と 優しいハートを兼ね備えた著者の 新たな一面を窺い知ることのできた随筆集。  
日記より 読んだ瞬間ずきゅーんときてこころに留めおきたくなぞり直した文章。 「貝母の芽はまだだけれど、ここは彼女の潜んでいる地面、と思いつつ歩く。」 「わずかに見える都会の空に浮かぶ雲の種類から、その雲と自分との間の距離を測ってみたりする。刷毛ではいたような巻雲なら、一万メートルほど。そこには西風が吹いている。  五感を、喧騒に閉じて、世界の風に開く。」 ざわざわした仕事でいっぱいの日々、高い遠い空に視線を転じたとき、そこに吹く風を想像するとき、「ああ」と思う。地面の下の息吹を、頭の上の空気を、忘れずに日々を生きていきたい。
※後日、詩仙堂のお庭で貝母。2011.04.30撮影


2、平松洋子の台所
平松洋子

平松洋子の台所 (新潮文庫)
平松 洋子
新潮社
売り上げランキング: 117130
..。.:*・゜(n´∀`)η゚・*:.。. 芯の通った、 まっすぐのびた背中を思わせる著者像は かっこいい女性のお手本みたい。 毎日毎日のことですもの。 身の回りの物も、食べ物も しっかり吟味して選びたい。 それって生活を大事にするってことだよね。
 日記より 平松さんはバイタリティにあふれた行動的な御方とお見受けしたが、その楽しく美味しくさわやかなエッセイは読者をもつき動かす。なんか、パワーに満ち満ちているのだ。平松さんの、るんるんが伝染してこっちまで楽しくなる。良いなあ、生活の道具ひとつひとつに惚れ込んで大切に愛しんでいる日々。


 3、おまえさん
宮部みゆき

おまえさん(上) (講談社文庫)
宮部 みゆき
講談社
売り上げランキング: 32
。o゚(p´⌒`q)゚o。 読後、あらためてタイトルを見ると これってあのひとのあの台詞からきてるんだよな、と。 著者はあの台詞の重みを伝えたかったんだろうな、と。 いろんな人間の、 いろんな複雑な問題が描かれていて、 多くのことを考えさせられました。 優しい登場人物たちに救われます。
日記より ミステリーとしての出来不出来は正直二の次で、これら多彩な人物が織りなす人間模様と宮部みゆきならではの深刻と茶目っ気の絶妙のバランスが生む空気・雰囲気をじっくりと堪能した。そしてそれでまあ正解だった。後味は……なんのしこりも残さずに、とはいかなかったのはうーんまあ人生・現実そんなもんかなーという。


 4、シャンハイ・ムーン
S・J・ローザン

シャンハイ・ムーン (創元推理文庫)
S・J・ローザン
東京創元社
売り上げランキング: 40319
。゚+(σ´д`。)+゚ 歴史と、純愛と、謎と推理。 シリーズ第9作は浪漫にあふれた傑作でした。 ひとの命と、尊厳と。 大きなうねりの中で翻弄される小さな個人というテーマと その小さな個々の様々な思惑によって 思いもよらない大きな影響が生じ 長く長く尾を引くことも珍しくないという真理と。 日記より 戦争絡みで波乱万丈な人生が複数絡んでいるし、といって悲惨なだけではなく夢や浪漫もあふれていて、読んでいて飽きない。残念ながら主役ふたりのそれではないが素晴らしい純愛も描かれているし、なんせメインが「幻の宝石」だし、シリーズの中でドラマティック度も糖度も高めなほうだと思う。


 5、アフリカの日々
イサク・ディネセン

アフリカの日々/やし酒飲み (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-8)
イサク・ディネセン エイモス・チュツオーラ
河出書房新社
売り上げランキング: 201308
(* ̄(エ) ̄)/ 広い大地と、 女主人にして語り手の公平かつ冷静たらんとする姿勢と、 ライオン。 理屈じゃなくて、かっこいい。 そして解説を読んで 書かれていなかった、 あえて言及を避けられた、 人生の荒波を知ってなんだか愕然。  
日記より 何気ない景色や状態の描写におけるディネセンの筆の丁寧さは素晴らしく、文字によって事象を描き出していくということ、文学というものへの真摯な態度、熱心さが一言一句粗末にしないそのスタンスからびしばし伝わってきた。


6、安全な妄想
長嶋有

安全な妄想
安全な妄想
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長嶋有
平凡社
売り上げランキング: 11883
(_≧Д≦)ノ彡☆ 大笑いさせてもらいました。 共感というか 「なんでやねん」 というツッコミを入れたい方向満載なんだけど そういう「感覚」を忘れないその執念深さ(誉めてます)は 尊敬するにやぶさかではないっていうか、 むちゃくちゃ面白いっていうか。 文章も大好き。  
日記より 本書を読んでいてほんとに何回も「このひと書くの上手いなあ」と感嘆のため息をついてしまった。テンポとか言葉選びとか、たぶんすっごく計算して周到に書かれてる。推敲しまくってるというよりかは、このひとのセンスなんだろうと思う。 ネタは些細なこともある。だけどその「最も効果が上がる広げ方」をこのひとはきちんと知っている。


7、ふしぎ盆栽ホンノンボ
宮田珠己

ふしぎ盆栽ホンノンボ (講談社文庫)
宮田 珠己
講談社 (2011-02-15)
売り上げランキング: 3315
щ( ̄∀ ̄)ш ホンノンボとかこういう…… 小さくてセカイが完結してるところ。 細かいけど、どっか間抜けなところ。 でもって、それを岩に作っちゃって、 盆栽の世界に物語作っちゃって、 ワビサビとか知らないけど良い感じでしょ?みたいなところ。 萌えまくりです。  
日記より どうも盆栽の仲間みたいなのだが、メインが木じゃなくて石で、そこにコケとか草とか木とかのグリーンも装飾的にあしらわれている。そして鉢はちょっと深みがあってそこには必ず水が張られている。さらには石のあちこちに陶器で作られたミニチュアの人形が配されている――それが、ホンノンボの基本形らしい。



8、卵をめぐる祖父の戦争
デイヴィッド・ベニオフ

卵をめぐる祖父の戦争 ((ハヤカワ・ポケット・ミステリ1838))
デイヴィッド・ベニオフ
早川書房
売り上げランキング: 2644
( ̄∠  ̄ )ノ ユニークなタイトルに いったいどういうお話かと思いきや。 立派なエンタメで、 しかもメッセージの伝え方が上質でした。 ……戦争ってほんと 愚かだし残酷だしなんにも良いことない。 憤懣やるかたないです。
日記より 卵をめぐる祖父の戦争、別におじいちゃん同士が卵を巡って喧嘩をするとかいうお話では無い、この「戦争」は第2次世界大戦を指す。ユダヤ系ロシア人の17歳だった祖父は、1942年当時、ドイツ包囲下のレニングラードに暮らしていた。それがあれよあれよというまにとんでもない使命を受ける破目になって、怒涛の1週間に巻き込まれることになる。


9、天地明察
冲方丁

天地明察
天地明察
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冲方 丁
角川書店(角川グループパブリッシング)
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(o ̄ー ̄o) 終盤正直失速しましたが。 主人公のキャラクター造形が読者受け狙いすぎで 歴史上の人物にそこまで盛ったからには 最後まで責任とれよなと思わないでもありませんが。 純粋にフィクションとしては問答無用に面白く わくわくしながら楽しめたので。
 日記より まあ「脳ミソぱーん」までは文句なしに面白かったしドジっ子キャラだったからこそ親近感が持てて春海を応援したくなってずっと楽しく読めたんだと思うし。エンタメとしては文句なしの出来だと思う。 それにしても「暦」を作る、ってこんな大変な事業だったんだなあ……。それ知れただけでも良かった。


10、街道をゆく 16叡山の諸道
司馬遼太郎

街道をゆく 16 叡山の諸道 (朝日文庫)
司馬 遼太郎
朝日新聞出版
売り上げランキング: 215668
川 ̄ι ̄川 著者の芋蔓式の知識、 それも私の興味の方向とはほぼ重ならない 脱線しまくりのアンテナに刺激受けまくり。 読者に媚びない文章って感じも これは記者あがり故なのか 最初は戸惑ったけど 慣れたら読みやすい。 思わず京都行っちゃっいました。
日記より 本書のメインというか、最高の盛り上がり場所は比叡山であり、中でも知人が小僧上がりの叡山の身内だったことで取材が可能になった「法華大会」で、それはもう冒頭に最終目的として掲げられるにもかかわらず、その詳細についてはほんとの終盤、最後の最後まで「焦らされる」としか言い様のないぐぅるり~、のことからずぅ~っと持って回ってやっと描かれるのだが、うん、やっぱ面白かったなぁ。